なぜこんなことになってしまったのか
学校へ行かなかった、というだけなのに…
なぜこんな目に遭わされなきゃならないのか
彼の精神は壊れかけていた
餌として運ばれてくる食事
あちこちから聞こえてくる奇声
世話をするスタッフたちの蔑む目
《まるで檻の中に収監された動物だな
俺もその仲間なのか…》
たとえ正常な人間だったとしても、この中で暮らしていたら頭がおかしくなるだろう
そうして、いずれは精神異常者に染まっていくのか
彼は本物の異常者になっていく自分を想像して、恐ろしさに身が震えた
《いやだ!いやだ!いやだ!俺は人間だ!人間なのに…》
悔しさに涙が溢れた
壊れかけた思考の中で、彼がたどり着いたのは
自分を精神病院に放り込んだ親への復讐だった
《そうだ、死のう!俺が死ねば、きっと俺をこんなところに入れた親は後悔するだろう。苦しむだろう》
本当の精神疾患者になるまえに命を断とう!
彼は溢れる涙を拭うと、目を瞑り、自分の舌を思いきり噛んだ
*この話はノンフィクションです。「いつか辿り着ける陽のあたる場所」の外伝です。
なぜ彼が薬物依存症になったのか、親の裏切りにあい、人生のどん底を味わった10代のお話です。