いよりんの独り言

日々の想いを綴っています

いつか辿り着ける陽のあたる場所ー壊されていく心⑤ー

なぜこんなことになってしまったのか

学校へ行かなかった、というだけなのに…

なぜこんな目に遭わされなきゃならないのか

 

彼の精神は壊れかけていた

 

餌として運ばれてくる食事

あちこちから聞こえてくる奇声

世話をするスタッフたちの蔑む目

 

《まるで檻の中に収監された動物だな

 俺もその仲間なのか…》

 

たとえ正常な人間だったとしても、この中で暮らしていたら頭がおかしくなるだろう

そうして、いずれは精神異常者に染まっていくのか

 

彼は本物の異常者になっていく自分を想像して、恐ろしさに身が震えた

《いやだ!いやだ!いやだ!俺は人間だ!人間なのに…》

悔しさに涙が溢れた

壊れかけた思考の中で、彼がたどり着いたのは

自分を精神病院に放り込んだ親への復讐だった

《そうだ、死のう!俺が死ねば、きっと俺をこんなところに入れた親は後悔するだろう。苦しむだろう》

本当の精神疾患者になるまえに命を断とう!

 

彼は溢れる涙を拭うと、目を瞑り、自分の舌を思いきり噛んだ

 

*この話はノンフィクションです。「いつか辿り着ける陽のあたる場所」の外伝です。

なぜ彼が薬物依存症になったのか、親の裏切りにあい、人生のどん底を味わった10代のお話です。