いよりんの独り言

日々の想いを綴っています

いつか辿り着ける陽のあたる場所ー壊されていく心⑤ー

なぜこんなことになってしまったのか

学校へ行かなかった、というだけなのに…

なぜこんな目に遭わされなきゃならないのか

 

彼の精神は壊れかけていた

 

餌として運ばれてくる食事

あちこちから聞こえてくる奇声

世話をするスタッフたちの蔑む目

 

《まるで檻の中に収監された動物だな

 俺もその仲間なのか…》

 

たとえ正常な人間だったとしても、この中で暮らしていたら頭がおかしくなるだろう

そうして、いずれは精神異常者に染まっていくのか

 

彼は本物の異常者になっていく自分を想像して、恐ろしさに身が震えた

《いやだ!いやだ!いやだ!俺は人間だ!人間なのに…》

悔しさに涙が溢れた

壊れかけた思考の中で、彼がたどり着いたのは

自分を精神病院に放り込んだ親への復讐だった

《そうだ、死のう!俺が死ねば、きっと俺をこんなところに入れた親は後悔するだろう。苦しむだろう》

本当の精神疾患者になるまえに命を断とう!

 

彼は溢れる涙を拭うと、目を瞑り、自分の舌を思いきり噛んだ

 

*この話はノンフィクションです。「いつか辿り着ける陽のあたる場所」の外伝です。

なぜ彼が薬物依存症になったのか、親の裏切りにあい、人生のどん底を味わった10代のお話です。

いつか辿り着ける陽のあたる場所ー壊されていく心④ー

人は意欲が失われる精神状態をよく“心が折れる“という言葉で言い表すが

心が折れる”瞬間の音を聞いたことがあるだろうか

 

彼の場合、折れるより“心が壊れる”という表現が正しいのか

自分の中で何かが崩壊する瞬間、きっと体験した者にしかわからないものなのだろう

 

抵抗する気力も失った彼は、やっと手足の束縛が解かれ、病室と呼ばれる室内に入れられた

食事も与えられた

 

しかし、悍しい体験をした彼には食欲などあるはずもなかった

思い出すだけでも吐き気がする

執拗に弄るおばさんの手の感覚を感じまいと、何も考えないようにするのに精一杯だった

怖くて、悲しくて、惨めだった

 

以後、彼はお風呂以外では靴下を脱げない

寝る時も履いたままだ

人はそれをトラウマと呼ぶのだろうか

下半身の肌を人に晒すのが恐ろしくて仕方ないのだ

 

“すみません。食欲がなくて…”

彼は食事に手をつけられず、そのまま配膳台に戻そうとした

すると、配膳係のスタッフだろうか

徐ろに蔑むような目で彼を見ると、

“この子、えさ、いらないってさ”

大声で他のスタッフたちに言った

 

《え、えさって…》

彼は心が抉られた

 

スタッフは皆、薄ら笑いをしていたのか

“せっかくのえさ、無駄にしやがって”

そう言って怒っていたのか

その時の彼らの様子はよく覚えていない

 

夜になると、どこからともなく奇声が聞こえる

鉄格子のある病棟

《自分は人間扱いされてないんだ。

 ここはそういうところなんだ。

 自分はそういう人たちの仲間なんだ》

彼の心はもう限界に達しようとしていた

 

*この話はノンフィクションです。

「いつか辿り着ける陽のあたる場所」の外伝になります。

いつか辿り着ける陽のあたる場所ー壊されていく心③ー

極度の恐怖心に襲われたとき、人は声が出なくなるらしい

 

よだれを垂らしたおばさんが彼の下着に手をかけた時、彼は恐怖のあまり声をあげられなかった

 

抵抗しようにも、両手両足をベッドに縛り付けられた状態で、彼にはどうすることも出来なかった

 

おばさんは彼の下着をずり下ろすと、露わになった彼の突起物を

“か〜わいい〜”と言ってにやにやしながら触り始めた

《いやだ、やめろー‼︎やめてくれー‼︎》

声にならない心の叫びも虚しく、彼の体は弄ばれ、恥ずかしめを受ける自分が情けなくて涙が溢れてきた

 

16歳、まだ女性すら知らない身で、彼は犯されたのだ

しかも精神疾患の患者に

 

それがどんなに惨たらしい事なのか、受けたものにしかわからない

声を上げる人に誹謗中傷するやつがいるが、そいつがいかに無情で卑劣な人間か、いや自分の身に起こってみないとわからない人以下の生物だ

事件が起きた某事務所では訴えを聞いてくれる体制ができたようだけど、誹謗中傷を恐れて、声を上げられない人は世の中にまだまだたくさんいると思う

 

彼の場合、声を上げたところで、相手は精神疾患者だ

罰せられず終わるのはわかっている

 

ベッドに縛られた状態で下半身丸出しの彼に何が起こったのか、院内の人間は察したはずだ

なのに、誰も何も言わない

傷ついた彼の心に寄り添う者もなく、何事もなかったように、ベッドは放置された

 

これが、脳が壊れた者たちが収容される、謂わゆる“精神病棟”なのだ

 

*この話は「いつか辿り着ける陽のあたる場所」の外伝であり、ノンフィクションです。

いつか辿り着ける陽のあたる場所ー壊されていく心②ー

病院と称されたそこは精神疾患者が収容されるサナトリウムだった

とんでもないところに入れられたと悟った彼は

“嫌だ!検査だけって言ったじゃないか!家に帰る!”

そう言って暴れ出した

しかし、がっちりと押さえつけている男たちを払い退けることはできず、抵抗虚しく彼は注射を打たれた

“うっ...”

彼の意識は遠のいていった

 

目覚めたとき、彼は病院の廊下に置かれたベッドに寝ていた

朦朧としていた意識が次第に戻ってきて、自分がここへ連れてこられたこと、暴れて注射を打たれたことを思い出した

《ああ、ここは病院か》

自分が置かれている現実を理解して、彼はベッドから起き上がろうとしたが、体が動かなかった

“ん⁉︎”

見ると、手足がベッドに縛りつけられていた

“えっ、なんで”

振り解こうと体を動かしてみたが、無駄な抵抗だとすぐさま悟った

 

それからどれくらい時間がたったのだろうか

考えることをやめて、うっすらと夜が明けていく様をぼんやりと眺めていた

 

すると、誰かが近づいてくる気配を感じた

《解きに来てくれたのかな?》

彼は小さな期待を抱いたが、すぐにそれは恐怖に変わった

 

近づいてきたのは病院に入院している精神疾患者のおばさんだった

ゴムが伸びきっているよれよれのジャージを履いていて、顔を見ると目の焦点が合っていない上によだれを垂らしている

《な、なに⁉︎》

彼女は彼を見つけて寄ってきた

 

そして、いきなり彼のズボンを下ろし始めた

“や、やめろ‼︎”

声に出して叫んだつもりだったが、あまりの恐怖に声にならなかった

 

逃げたくても逃げられない

おばさんは彼のズボンを下ろしてしまうと、今度は下着に手を伸ばした

“なにをする‼︎やめろー‼︎”

彼の声にならない叫びに助けにくる者はなかった

 

*この話はノンフィクションです。

「いつか辿り着ける陽のあたる場所」の外伝です。

 

「依存症」という病についての実録小説、執筆しました❗️

今週のお題ということで、「最近、初めて本を出版しました」

人生初の試みですね

内容は「薬物依存症」の家族を抱えての悪戦苦闘の日々を描いたものです

「薬物依存」って、ちょっと重いテーマですが、脳の病気を患った者は薬を求めて人格さえ変わってしまう、家族側の10年以上もの闘いを実録小説(ノンフィクション)にしました

 

全国の書店、Amazon等で販売中‼️

電子書籍もありますので、興味がある方は読んでみてください。

もし拾った犬が病気だったらどうしますか

とても難題だ

SNSで、犬を保護する感動的な動画がよく流されているけれど

ホッとする気持ちと、実際問題自分は対応できるのか?と置き換えて思うことがある

心情的には助けたい

けれど医者にかけてやるには高額の費用がかかるだろう

 

人の場合はどうだろうか

家族として迎えいれた人間が病気だったら…

助けたい気持ちはあっても、その先どれだけの苦労があるのかを考えたら、迷いはある

平穏な生活を望むのなら、自分の傷が浅いうちに関わるのをやめた方がいいのか

ドラマや映画は感動的な物語に仕上げて観せるけど、現実問題はそんなものじゃない

 

そう

わたしがそれを選択した人間だから

 

 

今日、18日ぶりに部屋の掃除した

つまり、ずっと寝ていた相方が今月初めて仕事に行った

精神安定剤を飲んで生活している身だから、体調が悪いとずっと寝たきり

部屋の掃除をしたいけど、掃除機の音も嫌がる

嫌味に聞こえるらしいので仕方ない

 

布団を上げて掃除したら、部屋の隅に蜘蛛🕷️が蜘蛛の巣🕸️をはっていた

もう初夏なんだなぁ、と思いながら、長い間開けられていなかった窓を開け、空気を入れ換える

 

病気の息子を捨てる親もあれば、それを拾う他人もいる

貧しいながらの暮らしだけど

“面白きことなき世を面白く”

高杉晋作ならぬ、わたしも最期に辞世の句でも読めたらいいな(笑)

 

“暗闇に 灯る光は幻(げん)なれど

進む迷路は 面白きかな”

 

苦労話は実録小説にて

いつか辿り着ける陽のあたる場所ー壊されていく心①ー

学校へ行けなくなった彼はずっと部屋にこもっていた

つらかった

苦しかった

親に気持ちをわかってほしかった

 

けれど、わかろうとするどころか、親たちは彼の心を踏み躙った

 

ある日突然、体格のいい4、5人の男たちが彼の部屋に入ってきた

彼は空手をやっていたこともあり、それなりに体力には自信があった

だからこそのこの体格の男たち、この人数だったのだ

いきなり腕を捕まれ、身体を押さえつけられた

“何をするんですか‼︎”

彼はもちろん抵抗した

“病院へ行くんだ”

彼らのうちのひとりがそういうと、まるで犯人を取り押さえるような格好で、彼を部屋から引き摺り出した

“いやだ!お父さん、この人たち誰なの?”

必死で抵抗を試みるが、人数的に勝ち目がない

嫌がる息子の姿を目にしながらも、父は何も言わない

母親も当然このことは知っていたはずだが、連行される息子の姿を見たくなかったのか、とうとう顔をみせなかった

何の説明すらないまま、彼は車に乗せられた

男たちに身体を抑えられ、逃げ出すこともできない

“どこへ行くんですか!”

何が起こっているのか、理解できていない彼の言葉に、

“君は病気なんだ。だから、病院で検査を受けるんだよ”

男のひとりが答えた

“検査だけですか?”

不安げな彼の問いに、

“検査だけだ。何でもなければ帰れるんだよ”

そんな風に説明した

 

病院へ向かう道はとても長く遠く感じた

このまま地の果てまで連れて行かれてしまうんじゃないだろうか

陽が傾き始めると途轍もない不安が彼を襲った

 

やっと病院に着き、彼は車から降ろされた

それでも逃げ出さないようにがっちりと男たちが身体を捕まえていた

どうやら、後ろの車に父親が乗っていたらしい

病院で何やら手続きをし、そのまま帰ろうとしていた

 

“えっ?どうして?お父さん!”

自分は置いていかれるんだと彼はとっさに悟った

“お父さん!置いて行かないで!ちゃんと学校行くよ!ちゃんと学校行くから置いて行かないで!”

彼の叫びに反応して、父親は小さく、

“春也…”と言いかけたようだった

だが、それ以上は何も言わず、車に乗り込むと行ってしまった

 

彼は強く唇を噛んだ

“捨てられたんだ”

悲しみが溢れた

けれど、悲しみに打ちひしがれた思いで涙も出なかった

 

*この話はノンフィクションです。

「いつか辿り着ける陽のあたる場所」の外伝です。