いよりんの独り言

日々の想いを綴っています

もし拾った犬が病気だったらどうしますか

とても難題だ

SNSで、犬を保護する感動的な動画がよく流されているけれど

ホッとする気持ちと、実際問題自分は対応できるのか?と置き換えて思うことがある

心情的には助けたい

けれど医者にかけてやるには高額の費用がかかるだろう

 

人の場合はどうだろうか

家族として迎えいれた人間が病気だったら…

助けたい気持ちはあっても、その先どれだけの苦労があるのかを考えたら、迷いはある

平穏な生活を望むのなら、自分の傷が浅いうちに関わるのをやめた方がいいのか

ドラマや映画は感動的な物語に仕上げて観せるけど、現実問題はそんなものじゃない

 

そう

わたしがそれを選択した人間だから

 

 

今日、18日ぶりに部屋の掃除した

つまり、ずっと寝ていた相方が今月初めて仕事に行った

精神安定剤を飲んで生活している身だから、体調が悪いとずっと寝たきり

部屋の掃除をしたいけど、掃除機の音も嫌がる

嫌味に聞こえるらしいので仕方ない

 

布団を上げて掃除したら、部屋の隅に蜘蛛🕷️が蜘蛛の巣🕸️をはっていた

もう初夏なんだなぁ、と思いながら、長い間開けられていなかった窓を開け、空気を入れ換える

 

病気の息子を捨てる親もあれば、それを拾う他人もいる

貧しいながらの暮らしだけど

“面白きことなき世を面白く”

高杉晋作ならぬ、わたしも最期に辞世の句でも読めたらいいな(笑)

 

“暗闇に 灯る光は幻(げん)なれど

進む迷路は 面白きかな”

 

苦労話は実録小説にて

いつか辿り着ける陽のあたる場所ー壊されていく心①ー

学校へ行けなくなった彼はずっと部屋にこもっていた

つらかった

苦しかった

親に気持ちをわかってほしかった

 

けれど、わかろうとするどころか、親たちは彼の心を踏み躙った

 

ある日突然、体格のいい4、5人の男たちが彼の部屋に入ってきた

彼は空手をやっていたこともあり、それなりに体力には自信があった

だからこそのこの体格の男たち、この人数だったのだ

いきなり腕を捕まれ、身体を押さえつけられた

“何をするんですか‼︎”

彼はもちろん抵抗した

“病院へ行くんだ”

彼らのうちのひとりがそういうと、まるで犯人を取り押さえるような格好で、彼を部屋から引き摺り出した

“いやだ!お父さん、この人たち誰なの?”

必死で抵抗を試みるが、人数的に勝ち目がない

嫌がる息子の姿を目にしながらも、父は何も言わない

母親も当然このことは知っていたはずだが、連行される息子の姿を見たくなかったのか、とうとう顔をみせなかった

何の説明すらないまま、彼は車に乗せられた

男たちに身体を抑えられ、逃げ出すこともできない

“どこへ行くんですか!”

何が起こっているのか、理解できていない彼の言葉に、

“君は病気なんだ。だから、病院で検査を受けるんだよ”

男のひとりが答えた

“検査だけですか?”

不安げな彼の問いに、

“検査だけだ。何でもなければ帰れるんだよ”

そんな風に説明した

 

病院へ向かう道はとても長く遠く感じた

このまま地の果てまで連れて行かれてしまうんじゃないだろうか

陽が傾き始めると途轍もない不安が彼を襲った

 

やっと病院に着き、彼は車から降ろされた

それでも逃げ出さないようにがっちりと男たちが身体を捕まえていた

どうやら、後ろの車に父親が乗っていたらしい

病院で何やら手続きをし、そのまま帰ろうとしていた

 

“えっ?どうして?お父さん!”

自分は置いていかれるんだと彼はとっさに悟った

“お父さん!置いて行かないで!ちゃんと学校行くよ!ちゃんと学校行くから置いて行かないで!”

彼の叫びに反応して、父親は小さく、

“春也…”と言いかけたようだった

だが、それ以上は何も言わず、車に乗り込むと行ってしまった

 

彼は強く唇を噛んだ

“捨てられたんだ”

悲しみが溢れた

けれど、悲しみに打ちひしがれた思いで涙も出なかった

 

*この話はノンフィクションです。

「いつか辿り着ける陽のあたる場所」の外伝です。

いつか辿り着ける陽のあたる場所ー閉ざされた心⑥ー

人生において“道を間違えた”と思えることはよくあるのかもしれない

けれど、失敗など誰にでもあることで、気づいた時点ですぐに戻り直せば、それ程道を外れることなくたいてい修正できるものだ

彼の場合、進んだ高校が間違いだった

義務教育とは違い、高校、大学は目指すものが同じ仲間が集まるところだから、価値観が同じ相手に出会いやすい

そういう意味では生涯の友、いわゆる親友ができやすい場所だとわたしは思っている

しかし、彼は違った

望む高校へ行けなかったのは、中2から中3一学期まで勉強を疎かにしていた自分が悪いわけで、なんとか行ける高校という選択肢で高校を選んでしまったのだから仕方がない

学校が合わなかった

真面目に勉強をしようとすれば周りから煙たがられ、規則を強要してくる教師とはぶつかりがちだった

周りの生徒の低俗な話題にはついていけず、当然友だちなどできるはずがない

学校がつまらないものになり、休みがちになった

それでも成績は良かったからか、“生意気”と思われたのだろう

ついにいじめが始まった

彼が休んだ次の日、学校へ行ってみると、彼の机にはゴミが入れられていた

彼は学校が嫌になった

次第に学校が遠のき、登校拒否になる

父親は彼のつらさなどお構いなしに、相変わらず“学校へ行け”だ

 

親なら彼のつらさをわかってやるべきだった

たとえ、一年遅れても別の高校へ行かせるべきだったと思う

通信でも学べるし、高卒の資格が取れる大検の道もあっただろう

もし、この時彼に修正の道が正しく示されていれば…

彼は人生を台無しにすることはなかった

 

部屋に引き篭もっていた彼を、ある日突然悲劇が襲う

彼は親に裏切られた

 

*この話はノンフィクションです。

実録小説「いつか辿り着ける陽のあたる場所」の外伝です。

理不尽な上司

自分の責任にしたくない上司によくある話なのかもしれないけど

 

契約が決まったこと、顧客への連絡手段(電話番号等)、顔合わせの時間、上司がわたしに連絡を入れるのを忘れてたのに

指定の時間にわたしが行ってなかったことで、文句を言われた

 

“お客様を何時間も待たせてしまって、相手は怒ってるし、契約破棄されるかもしれない”

“あぁ、もうダメかもしれない。せっかく決まったのにもったいない”

“当然わかってると思ったのに”

などなど、かなりグチグチ言われた

 

単に自分の連絡忘れだと思うんだけど、しまいには

“やるやらないに関わらず、電話は個人で聞いておくべきだ”

“Aさんはちゃんと自分から連絡先聞いてるよ”

と、また見える努力家Aさんを見習え的言葉が出たので、ちょっとうんざりした

 

まぁ、わたしから積極的に聞かなかったのも悪いと言えば悪いのかもしれないけど

以前、契約がどうなったか聞いたとき、決まらなかったらしく“ないよ”と気まずい一言返事しかなかったり

何度か、担当が別の人に急に代わっていて、”代わる連絡がなかったんですけど”とメールしたら、返信がまったく来なかったり

つまり、嫌なことは説明したくないタイプなんだなと判断し、なるべくこっちからは聞かないようにしたのだけれどね

 

先方にはわたしの連絡ミスとして処理されたのだろうな、と思いつつ、一応丁寧に謝りの電話を入れたので、事なきを得た感じ

 

自分が携帯の電源を切っていて、お客さんからの連絡に気づかなかったことが原因のようなことは言っていたけれど

あくまで、契約が決まったことを察しないわたしが悪く、決まらない前から個人で連絡先交換をしておかなかったミスのように言われ、“以後、こんなことがないように”と

 

“お前がな”と心で言い返していたのは内緒(苦笑)

いつか辿り着ける陽のあたる場所ー閉ざされた心⑤ー

戻りたくても戻れない

 

彼の心は歪み続けた

自分の力を認めてくれる仲間がいる

それが暴力や犯罪という“悪”であっても関係ない

どんなに頑張っても振り向いてもくれなかった親よりもわかってくれる仲間が大事だった

 

学校をサボりまくった

勢力争いに加わって暴れ回った

 

でも、何かが違う?

中3の夏が近づく頃、仲間との悪い遊びを続けていることに少し疲れてきた

自分の部屋にこもって葛藤する

このままの自分でいいのだろうか

 

学校に呼び出され続けていた親が、ついに決意する

不良仲間から引き離すために、彼を転校させる

 

 

中3の二学期になると、彼は叔父の家に預けられ、そこから新しい学校へ通うことになった

“転校生”というのは迎え入れる生徒たちからしたら謎めいた存在である

彼の素行を知る者はいない

運動能力には自信があったから、体育の時間に野球のピッチャーをやったことからたちまち噂になった

 

“転校生はかっこいい!”

多くの女子に注目され、告白もされた

彼が初めて味わう心地良さだった

不良仲間ではない、真面目な友だちもできて

“自分は変われる”そんな思いになれたつかの間の幸せな時間だった

 

だが、時遅し

勉強の遅れだけは、すでに取り戻せないものになっていた

仲良くなった友だちと同じ高校には行けず、ランクを落とした男子高へ進学することになる

 

ここから彼は人生のどん底へと落ちていくのだった

 

*この話はノンフィクションです。

「いつか辿り着ける陽のあたる場所」の外伝です。

 

 

いつか辿り着ける陽のあたる場所ー閉ざされた心④ー

彼は歴史が好きだった

だから、社会の授業だけは真面目に聞いていた方だと思う

しかし、“次の授業をボイコットしようぜ”仲間からの誘いがかかった

仲間からの誘いは絶対だ

彼は誘いに乗って教室を飛び出した

 

“春也!お前はそっち側じゃないだろう!戻ってこい!”

社会科の先生が彼の肩を掴んだ

彼はそれを無言で振り払った

 

もう戻れない

戻れやしないんだ

彼は自分の心にいい聞かせると、けして振り返らず仲間の元へと走った

彼は変わった

平気で人を傷つけた

先輩に命じられるままに万引きもした

一度悪いことに手を染めてしまったら、次第に悪いという気持ちまで薄れていく

 

素行不良で、親が学校に呼び出された

謝りに来るのはいつも母親だった

父親は相変わらず無関心だった

 

 

いつか辿り着ける陽のあたる場所ー閉ざされた心③ー

彼には2つ上の姉がいた

学年で一、二位を争うくらいの優秀な生徒で、彼が中学に入学した当初は彼女の弟として注目されたし、もちろん学力も期待された

注目されるのは別に嫌ではなかったし、姉を見習って勉強もしたので、彼自身も成績は悪くなかった

しかし、姉が中学を卒業し、中学2年に進級すると彼の身に災難が降りかかる

 

空手を習っていた彼は、周りから“型がきれいだね”と褒められ喜んでいたのだが、

噂を聞きつけた不良グループが近づいてきたのだ

“仲間に入らないか”と誘ってきた

喧嘩要員として、空手を習っている彼が欲しかったようだ

学校へ行けば、執拗に纏わりつかれる

彼は学校へ行くのを嫌がるようになった

 

だが、父はそのつらさをわかってはくれなかった

ただただ“学校へ行きなさい”の一点張りだった

 

勉強を頑張っても褒めてくれない

空手を頑張っても師範や周りの人たちのように褒めてくれない

“お父さんは、不良グループに絡まれて苦しんでいる気持ちなんかわかってくれないんだ”

まただ

彼は父親に失望した

 

“行けっていうなら行くさ。俺のことなんかどうなってもいいんだろう!”

自棄になった彼の中で心が壊れた始まりだった

 

 

ガラスに入った小さなヒビのように

少しずつの振動によって、彼の心は壊れていった

 

それからまもなく、彼は不良グループの先頭に立っていた

授業をさぼり、喧嘩に明け暮れるようになった

 

*この話はノンフィクションです。実録小説「いつか辿り着ける陽のあたる場所」の外伝です。