人生において“道を間違えた”と思えることはよくあるのかもしれない
けれど、失敗など誰にでもあることで、気づいた時点ですぐに戻り直せば、それ程道を外れることなくたいてい修正できるものだ
彼の場合、進んだ高校が間違いだった
義務教育とは違い、高校、大学は目指すものが同じ仲間が集まるところだから、価値観が同じ相手に出会いやすい
そういう意味では生涯の友、いわゆる親友ができやすい場所だとわたしは思っている
しかし、彼は違った
望む高校へ行けなかったのは、中2から中3一学期まで勉強を疎かにしていた自分が悪いわけで、なんとか行ける高校という選択肢で高校を選んでしまったのだから仕方がない
学校が合わなかった
真面目に勉強をしようとすれば周りから煙たがられ、規則を強要してくる教師とはぶつかりがちだった
周りの生徒の低俗な話題にはついていけず、当然友だちなどできるはずがない
学校がつまらないものになり、休みがちになった
それでも成績は良かったからか、“生意気”と思われたのだろう
ついにいじめが始まった
彼が休んだ次の日、学校へ行ってみると、彼の机にはゴミが入れられていた
彼は学校が嫌になった
次第に学校が遠のき、登校拒否になる
父親は彼のつらさなどお構いなしに、相変わらず“学校へ行け”だ
親なら彼のつらさをわかってやるべきだった
たとえ、一年遅れても別の高校へ行かせるべきだったと思う
通信でも学べるし、高卒の資格が取れる大検の道もあっただろう
もし、この時彼に修正の道が正しく示されていれば…
彼は人生を台無しにすることはなかった
部屋に引き篭もっていた彼を、ある日突然悲劇が襲う
彼は親に裏切られた
*この話はノンフィクションです。
実録小説「いつか辿り着ける陽のあたる場所」の外伝です。