いよりんの独り言

日々の想いを綴っています

いつか辿り着ける陽のあたる場所ー閉ざされた心⑤ー

戻りたくても戻れない

 

彼の心は歪み続けた

自分の力を認めてくれる仲間がいる

それが暴力や犯罪という“悪”であっても関係ない

どんなに頑張っても振り向いてもくれなかった親よりもわかってくれる仲間が大事だった

 

学校をサボりまくった

勢力争いに加わって暴れ回った

 

でも、何かが違う?

中3の夏が近づく頃、仲間との悪い遊びを続けていることに少し疲れてきた

自分の部屋にこもって葛藤する

このままの自分でいいのだろうか

 

学校に呼び出され続けていた親が、ついに決意する

不良仲間から引き離すために、彼を転校させる

 

 

中3の二学期になると、彼は叔父の家に預けられ、そこから新しい学校へ通うことになった

“転校生”というのは迎え入れる生徒たちからしたら謎めいた存在である

彼の素行を知る者はいない

運動能力には自信があったから、体育の時間に野球のピッチャーをやったことからたちまち噂になった

 

“転校生はかっこいい!”

多くの女子に注目され、告白もされた

彼が初めて味わう心地良さだった

不良仲間ではない、真面目な友だちもできて

“自分は変われる”そんな思いになれたつかの間の幸せな時間だった

 

だが、時遅し

勉強の遅れだけは、すでに取り戻せないものになっていた

仲良くなった友だちと同じ高校には行けず、ランクを落とした男子高へ進学することになる

 

ここから彼は人生のどん底へと落ちていくのだった

 

*この話はノンフィクションです。

「いつか辿り着ける陽のあたる場所」の外伝です。