いよりんの独り言

日々の想いを綴っています

いつか辿り着ける陽のあたる場所ー閉ざされた心②ー

母親には子どもに対する愛情はあったと思う

 

しかし、長男の嫁という立場で、同居する姑が財布の紐を握っており、不自由な生活を強いられていた身で

更には出世から遠ざかり、自分の中にこもる夫に“家を出てほしい”“財布を握らせてほしい”といくら相談しても無駄でしかなかった

やはり子どもへの対応は疎かになっていたのだろう

 

そんな中、彼の心が壊れる始まりが起きる

 

彼は絵画コンクールで賞を取った

もらった賞状を持ち帰って、父親に見せたところ、

滅多に関心を示さない父親が

“そうか。じゃあ、額を買って飾らないとな”

と言ってくれた

彼がどれだけ嬉しかったことか

 

だが、それは果たされなかった

 

父親の言葉は賞状を見せた息子に何か言わなければと咄嗟に出た、単なるその場凌ぎの言葉だったのだ

賞状のことなどすっかり忘れてしまった父親

額を買うどころか、その後、彼の賞状はとうとう日の目を見ることはなかった

 

“お父さんは僕に関心がないんだ”

 

中学生だった彼の心は踏み躙られ、次第に荒み始めていく